● 日本的な暮らしを表現した癒しと憩いの町「おかげ横丁」
  (三重県伊勢市)

 平成5年、伊勢神宮内宮の門前町である「おはらい町」に、江戸から明治
にかけての古い街並みを再現した「おかげ横丁」が誕生しました。この地に
本店を構え300年商いを続けてきた老舗の和菓子屋「赤福」が約140億
円を投じて完成させたものです。

 かつて、伊勢参りで賑わいをみせていたこの町も、時代の流れとともに、
伊勢の古き良き時代の面影をなくし、通りとは別に、車の通る道が整備され
ると人の流れが途絶え、衰退の一途をたどっていました。

 「洋風化したものが氾濫する時代だからこそ、日本的なこころのふるさと
が求められている。」赤福の濱田益嗣(ますたね)社長の描いた町づくりの
考え方は、とても分かりやすいものでした。江戸時代には、当時の日本の人
口の5分の1にあたる参詣客を迎えていた伊勢には、伝統的におもてなしの
こころがありました。その温かい心を感じてもらえるような、伊勢らしい伝
統的な街並みを再現すれば、きっと訪れる人々に喜んでもらえると濱田さん
は信じたわけです。

 約2600坪の「おはらい町」の中には、伊勢を代表する伝統的建造物25棟
が立ち並び、江戸時代の伊勢の様子を紹介した展示館や、松阪木綿、伊賀組
紐といった工芸品を扱う店、伊勢うどん、てこね寿しといった郷土料理を出
す店など40店舗が入っています。

 「おかげ横丁」に一歩足を踏み入れると、さながら古き良き時代にタイム
スリップしたような錯覚を覚えます。もちろん、手がけたのは、こうした建
築物だけではありません。盆栽、俳句、民話・伝承、碁会所など、日本の古
き良き文化に触れられる「五十鈴塾」も開講しました。

 伊勢らしい伝統的な街並みと伊勢人のおもてなしのこころ、この二つが相
乗効果を発揮し、「おかげ横丁」を訪れる観光客は、平成14年にはついに
300万人を超えました。伝統的な「日本文化、日本の暮らし」を表現した
「おかげ横丁」の町づくりは、これからの地域活性化の一つの方法を示した
のではないでしょうか。

※ 伊勢市の様子
 http://www.kantei.go.jp/jp/m-magazine/backnumber/2003/0410k.html