農村が都市住民との交流拠点に変貌(兵庫県八千代町)
豊かな自然を活かした町づくりで、観光産業の育成に成功した小さな町が
あります。神戸から中国自動車道で約90分、かつては人口の6割が繊維産
業に携わっていたという山間の町、兵庫県八千代町です。
バブル崩壊とともに町の主要産業であった織物業が衰退。新しい産業の育
成を模索していた同町が着目したのが、「田舎暮らし」をキーワードにした
都会との交流産業でした。役場の産業課長・細尾勝博さんが中心となって、
プロジェクトがスタートしました。
その中核となったのが、バンガロー型宿泊棟と小さな畑を組み合わせた滞
在型の市民農園です。建物のイメージを思い切ってドイツ風に統一し、田園
リゾートの雰囲気を追求したところ、マスコミからも注目を集め、神戸の住
民などから応募が殺到しました。
10年以上たった現在でも、入居者のほとんどが契約更新を続け、200
組以上の待機者を抱える人気の施設となっています。
集客の秘訣は、地元住民とのきめ細かな交流にありました。入居者には、
最低、月に2度の訪問を義務付けたこと。地元住民が指導する農業講習会な
どへの参加をとおし、農業の基本や作物を育てる喜びを学んだり、入居者と
管理組合が一体となってのイベントなどに参加することによって、次第に都
市住民の八千代町への愛着が深まっていきました。
交流を一層深めるため、貸し果樹園や貸し山林などのオーナーなどが誕生
するなど輪が広がり、今では人口6千余りの町に年間23万人が訪れるほど
になりました。
「八千代町は自然を大事にすることで、都市住民に魅力的な町となりまし
た。」と細尾さん。平成13年度の町の観光収入は約11億円、プロジェク
トがスタートした13年前に比べると、30倍近い伸びを示しています。
「将来は農林業を基軸として、観光、ITといった産業も一体化した“総
合商(公)社”をつくりたい。」細尾さんの「夢」はさらに膨らみます。
※ 八千代町の様子
http://www.kantei.go.jp/jp/m-magazine/backnumber/2003/0403k.html