● 豊かな自然があれば、歓楽街もレジャー施設も必要ありません   (大分県湯布院町)  
わずか人口1万2千人の小さな温泉町ながら、若い女性を中心に年間4百 万人近い観光客が訪れる大分県由布院。かつては巨大観光地・別府温泉の陰 に隠れ、まったく注目されることのなかった山間のひなびた温泉地を、全国 でも有数の人気スポットに育て上げていった一人が、旅館「由布院玉の湯」 の社長・溝口薫平さんです。  昭和46年、溝口さんは町の有志とともに観光地の理想像を求めてヨーロ ッパに視察に出かけます。そのときに訪ねたドイツの温泉保養地、バーデン バイラーのホテルオーナーの一言が彼の心を貫きます。 「この町にとって最も大切なのは緑と空間、そして静けさです」  滞在型の温泉リゾートに必要なのは歓楽街やレジャー施設ではなく、心な ごむ自然環境だと。そして、地元住民が快適に暮らせなければ、旅行者を気 持ちよく迎えることはできないということを学んだのです。  帰国した溝口さんらがまず取り組んだのは、美しい山並みと豊かな水に恵 まれた由布院の自然を乱開発から守ることでした。さらには地域の活性化を 図るため、観光客だけでなく、町民も一体となって楽しめる様々なイベント を企画していきました。  豊かな自然と温かく迎える地元住民のホスピタリティがあれば、名所・旧 跡がなくても十分やっていける。この考え方を徹底してきたからこそ、いま の由布院は多くの人を惹きつけてやまないのでしょう。
※ 湯布院町の様子 http://www.kantei.go.jp/jp/m-magazine/backnumber/2003/0206k.html