● ガラス文化と街づくりで地域を再生(滋賀県長浜市)
琵琶湖の湖岸にあり、古くは羽柴(豊臣)秀吉の城下町として栄えた長浜
市。昭和50年代から、郊外型大型店の進出とともに閑古鳥がないていた商
店街が、「黒壁ガラス館」を中心に、年間480万人の観光客で賑わってい
ます。
この建物は、明治期に旧第百三十銀行長浜支店として建てられ、外壁が黒
漆喰だったことから「黒壁銀行」として、親しまれてきました。ところが、
中心地の商店街が寂れていくとともに、取り壊しの危機に見舞われました。
そこで、建物の保存と活用をテコに活性化に取り組むために、第三セクター
で株式会社「黒壁」を設立しました。
そこに専務として就任し、後に社長を務めたのが笹原司朗さんです。「『
大資本ではできない何か新しいもので、歴史や文化、国際性のあるものを導
入しなくてはダメ。』というのが私の発想でした。思いあぐねていた時に、
ヒントになったのが『ヨーロッパではガラス産業がある都市は活気があった。
』という、当時の社長のひと言でした。」
長浜にはガラス工芸の技術も伝統もなく、むろん、仕入れや製造方法もわ
かりません。でも、意気込みだけはありました。さっそく、笹原さんと「黒
壁」の役員は、自腹を切って欧州視察に出かけます。帰国後、ガラスへの想
いをいっそう強めた笹原さんは「黒壁銀行」をガラス館に改造し、世界のガ
ラス製品の販売を行うほか、敷地内にガラス工房をつくり生産販売したり、
古い蔵を利用してフランス料理のレストランをオープンさせます。
この「黒壁スクエア」を核に、商店街はかつての賑わいを取り戻し、新し
く出店する店も増えました。さらに笹原さんは、市の中心を抜ける北国街道
沿いに残る、江戸から明治期にかけての120軒余りある町屋に着目します。
統一的な街並みをつくるために、所有者の説得にあたりました。
笹原さんの熱意が実り、空き家が目立った街並みに、ガラス文化という新
しい息吹が吹きこまれ、400年の歴史を持つ街道が、「北国ガラス街道」
として生まれ変わりました。現在では、ガラス工芸品の技術者をヨーロッパ
に派遣するなど、様々な努力を継続しています。
「歴史」「文化」「国際性」の融合によって誕生した“黒壁ブランド”で
すが、今やガラスにとどまらず、新しい文化の創造から街づくりへと大きな
広がりをみせています。
※ 長浜市の様子
http://www.kantei.go.jp/jp/m-magazine/backnumber/2003/0306k.html